せとうち志々島移住日記

東京生まれ・東京育ちの元プログラマー。父母ヶ浜で有名な香川県三豊市に属する離島・志々島(ししじま)に移住した新米島人です。 その日常を綴って行きます。

第211話. 変わる大楠

話は今年の春先まで遡ります。

昨年末に大楠の大規模な調査を行なった事は、以前ブログにも書きました。
https://goumonkobura.hatenablog.com/entry/2022/12/23/181935

その際、樹木医さんから次の様なアドバイスを頂きました。

大楠周辺を踏み固めるのは根っこの生育上、あまり好ましくない。

それ以上に、枯れた枝や自重に堪えかねた枝が折れて、人が下敷きになる様な事故を未然に防ぐ為、枝の下に人を入れない方が良い。

…といった内容です。

これを受けて、3月の島民総会で話し合い、枝の下を避ける迂回ルートを作る事が決定しました。

ただ、僕も引っ越し等で時間に余裕が無く、作業に着手出来たのは6月になってからでした。

新ルートは、大楠の有る所から一段下ったエリアを通るものです。
ちなみに、明治時代に起きた土砂崩れで流されてしまいましたが、元々は民家が在った所です。

そこへ下りる為の道を新たに開拓する必要が有りましたが、周辺には竹や笹が生い茂っており、地面の様子も全く分かりませんでした(>_<)
f:id:goumonkobura:20231221112822j:image何処に道を通すのがベストか?(手間が掛からないか?)を知る上で、先ずは見通しを良くする事から始めました。

基本は、僕も含めた3~4人での作業。
竹用の草刈り機でザッと刈りし、細かい所はノコギリを使ってという具合です。

かなり時間が掛かるだろうと思っていましたが、予想に反して初回の作業が捗り、ルートの目星を付ける事が出来ました。

続いて、なるべく傾斜が緩やかな場所を選んで、階段を作りました。

重機など使えるはずもなく、ツルハシで地道に土を削って段々にするのみです。

如何せん、雨に濡れると土が軟弱になるので、この先も暫く様子見は必要になると思います。
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f:id:goumonkobura:20231221112931j:image杭やロープは、遊歩道沿いに使われていた物を転用させて貰いました(猪避けのフェンスを設置して不要になった為)。

作業は順調に進みましたが、刈った草木を片付けるのはなかなか骨が折れました(^^;)

幸い、半年に一度のボランティア草刈りがタイミング良く行われたので、その参加者の方々にも大いに助けて頂きました。

f:id:goumonkobura:20231221113758j:imageただ、長らくジャングルだった所なので、時間が経つと直ぐに草木が伸びて来てしまい、月に一度は草刈りを余儀なくされました。

また、前述の通り民家の跡地である為、無数の屋根瓦が土に埋もれていました。

その上を通るのは歩き心地が悪いし、躓いたりしても危ないので、可能な限りほじくり返しました。

そんなこんなで迂回ルートは完成。
ロープを張って、今まで通れたエリアは立ち入り禁止にしています。
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ただし、そのままでは大楠の根元にある祠や鳥居までの距離が遠く、お参りが難しくなるので、それらの移設も同時に行なう予定でした。

が、様々な事情により作業は滞っています。
僕の不手際もその原因の一つですが、段階を踏んで進める必要が有り、最初の一手が決まらないと次に進めない、といった所でしょうか。
f:id:goumonkobura:20231221113953j:imageそれはさておき、これまでの大楠の様子を知る人達の中には、この方針を快く思わない方も間違いなく居ます。

大楠のそばまで行きたい、触りたい。
そうした要望が有るのは百も承知です。
僕もこれで皆が喜んでくれるとは、少しも思っていません。

嬉しい・楽しいよりも、安心・安全を優先させた結果です。
説明すれば理解を示して下さるお客さんが居る、というのもまた事実です。

大楠の保護と活用(楽しみ方)の問題は、僕が移住する以前からずっと議論されて来た事なので、誰もが納得する形を見出すのは容易ではないのも分かっています。

大楠も生き物なので、人間が幾ら足掻いても命尽きる時はやがて訪れます。
ただ、人の誤った判断でその寿命を縮めるべきではない。

僕も島では若手に分類されるものの、世間一般においては立派な中年(中高年?)。
大楠の最期を看取るなんて、出来っこありません。

そんな僕らに出来るのは、自分達の代で大楠を終わらせない努力をする事。
そして、後の世代に大楠を託す事ではないでしょうか。

…と、思ったり思わなかったり( ̄∇ ̄)

安全が確保されれば、立ち入り禁止エリアを縮小して行けば良いとも思っています。

未確定ですが、枯れ枝の剪定などに県の協力を得られるかもしれないので、その実現を今は祈るばかりです。