せとうち志々島移住日記

東京生まれ・東京育ちの元プログラマー。父母ヶ浜で有名な香川県三豊市に属する離島・志々島(ししじま)に移住した新米島人です。 その日常を綴って行きます。

第120話.ハーバーライト・後編

明けまして前回の続きです。

志々島と対岸の宮ノ下港との距離は、せいぜい5km程度。
北に向かってほぼ真っ直ぐ進むだけです。

が、あくまでも「ほぼ」ですし、夜間航行だとそう簡単には行きません。

最も重要な事は、何を目標にして進むか?です。

その目印となるのが、志々島の港に灯る「ハーバーライト」。
日本語では灯台、或いは光波標識と呼ばれるそうです。

灯台と聞くと、コンクリで出来た高い塔を思い浮かべると思いますが、こういう街灯的な物もその一種みたいです。

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光の色は白とオレンジ。
遠目からは、4つの光が確認出来ます。

その4つの光の並びや配置で「ああ、あれが志々島だな」と分かります。
逆に言えば…それだけが頼りです(^^;

とにもかくにも、島のハーバーライトを目指して針路を取りました。

がしかし、昼夜を問わず注意が必要となるのは、志々島の浅瀬。
乗り上げたら座礁します(^^;

加えてもう一つは、灯浮標(とうふひょう)と呼ばれる海に浮かぶ物体。


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赤と緑が一対で夜はライトを灯し、その間が大型船の航路である事を示します。

常設されている物なので見慣れていますが、やはり夜間は距離感が掴みにくく、普段より大回りしてやり過ごしました。

そしてこの日は、海上に2隻の大型船が停泊中。

強風から逃れようと瀬戸内海へ避難して来たり、港への入港順を待つ為に船が停泊する事は珍しくありません。

ただ、夜はその窓明かりが煌々と輝いて見えました。

本来、漁船の操縦席にはフロントガラス的な物は有りませんが、僕が借りた自治会長さんの船は改造されていて、風避けが付いています。

そのフロントガラスに大型船の窓明かりがずーーーっと映り込んで、島のハーバーライトやその他の船の往来を見極めるのに、とんでもなく邪魔でした(~_~;)

真っ暗闇であって初めて、かすかな明かりが手掛かりとなる訳です。

さて、目に見える障害物についてあれこれ述べて来ましたが、本当に一番怖いのは「目に見えない物」です。

ライトで照らさない限り、海面の様子は全く見えません。
その為、万が一大きな漂流物が浮かんでいたら、衝突したりスクリューに巻き込む恐れが有るのです。

なので、そもそも夜間航行というのは一か八かの賭けに等しく、不要不急の用事であるならば止めるべきでしょう。

つまり今回は、運が良かっただけ。
たとえ経験を重ねても、上手く行く保障は何処にも有りません。

…という事を身を以て知りましたが、初めての夜間航行は無事成功。
生きて志々島の地を踏みました。

今後は従来通り、日没前に帰る様に努めます(笑)