せとうち志々島移住日記

東京生まれ・東京育ちの元プログラマー。父母ヶ浜で有名な香川県三豊市に属する離島・志々島(ししじま)に移住した新米島人です。 その日常を綴って行きます。

第48話.破壊活動

去年、志々島(ししじま)に移住してから、延べ3軒の空き家解体に携わりました。

前の2軒は、後から思い出した様に写真を撮ったりで順を追って説明出来なかった為、今回は3軒目の空き家解体を例に、その段取りについて話したいと思います。

なお、全てがこのパターンに当てはまる訳ではないので悪しからず。

さて、今回のターゲットはこちらの家。
作業前の様子です。
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先ずは、一階・二階の床板剥がしと家具の解体からスタートです。

タンスの様な立体的な物をそのままにしておくと、家が綺麗にペチャンコにならないからです。
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続いて、屋根瓦を下ろす作業。
瓦の下には、土や竹の骨組みが隠れています。
先に床板を外した事で内部は吹き抜け的な感じになり、それらを上からジャンジャン投げ下ろす事が出来ました。
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屋根瓦が終わったら、今度は壁も取り払います。
基本的には土壁で、格子状に組まれた竹が両側から土でサンドされた状態の物です。

上と左右の端の土をバール等で叩き落とし、柱に差し込まれた竹をノコギリで切ります。
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その上で、倒したい方向にドーンと押せば、土壁を倒す事が出来ます。
イメージ通り綺麗に壁を倒せた時は、気分が良いです(笑)

ここまで出来たら、後は柱や梁(はり)をチェーンソーで切り落として行きます。
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まだチェーンソーを使った事が無い僕が語るのもおこがましいですが、自分の足場を確保するのはもちろん、密接した隣家に被害を及ぼさぬ様にやらなければやらないので、よくよく考えて作業を進める必要が有ります。

切った柱や梁を綺麗に揃えて並べたら、任務完了です!( ̄▽ ̄)ゞ
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草刈り同様、解体作業も体力を使いますし、ホコリや泥にまみれる事も少なくないです。
この家に関して言えば、3人で2週間程度掛かったでしょうかね~(うろ覚え)。

それでも、破壊の限りを尽くすというのはなかなか出来る事ではないので、ストレス発散にはもってこいです(笑)

第47話.曜日感覚

東京では月~金まで仕事、土日祝日は休みというごく一般的なサイクルで1週間を過ごしていました。

仕事をしていれば、自ずと曜日を把握出来た訳です。

志々島(ししじま)に移住して10ヵ月。
未だ無職の僕ですが、島内には有償・無償の仕事が山ほど有ります。

ただし、やるもやらぬも自分次第。
決まって働かなければならない曜日が無い代わりに、決まった休みも有りません。

観光客が多いと、「ああ、今日は祝日だったか」と気付く事も少なくないです。

頼みの綱のテレビも録画視聴専門なので、曜日感覚を取り戻す助けにはなりません(笑)

言うなれば、「晴れたら仕事・雨なら休み」といった具合です。

晴れの日に休んだら勿体無いという気持ちも有りますが、屋内作業が有れば雨でも仕事が出来てしまうので、そうなると自分で意識して休むしかないですね。

ただ、仕事・仕事と言っても半日程度で終わる事も有りますし、読者の皆さんの様な過酷な働き方はしておりません(笑)

余談ですが、定期船の汽笛が時報代わりにもなっています。

8時50分到着の船は始業時刻の目安。
8時集合の場合も有りますが、大体9時スタートが多いです。

15時50分出発の船は終業時刻の目安。
この船が出て行ったら、そろそろ仕事を切り上げようかという雰囲気になります。

少々早いと思われるかもしれませんが、肉体労働では一日5~6時間がイイ所です( ´~`)

引っ越し当初は「日が沈むまでやったるで~!」と息巻いていましたが、頑張り過ぎで腱鞘炎をこじらせてバネ指になったので、今は島の皆さんのペースに合わせる様になりました(^^;)

ちなみに現在、そんな志々島の暮らしとはかけ離れたタンカーのお仕事で、24時間絶賛監禁中です(苦笑)

第46話.幼稚園遠足とサユリちゃん

先週、志々島の対岸に在る詫間幼稚園から、園児達が毎年恒例の遠足にやって来ました。

昨年は天候不良で延期の繰り返しでしたが、今回は予定通りの開催です(^_^)v

僕のお役目は二つ。

一つは、大楠の前で紙芝居を読む事。
島には大楠にまつわる昔話が有り、それを紙芝居にして園児達に聞かせるのがお決まりになっています。

ストーリーを一言で表すならば、「大楠を大事にしないと祟りが起こるぞ!」です(笑)

それを今回、ベテラン島民に代わって僕が読む事になりました。
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ただ、元の話そのままだと教訓めいた物が無いので、その辺りの事を本番前に付け足して工夫したつもりです。

そしてもう一つのお役目は、園児達の引率。

幼稚園の先生や一部の父兄さんも一緒でしたが、40人を4班に分けて大楠や楠の倉展望台を目指すので、島民も引率のお手伝いをするのでした。

ちなみに島民も、園児達と同じ名札とスタンプラリー証を付けさせられました(苦笑)
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僕の担当は黄色班。
先生を先頭にほぼ一列で歩く訳ですが、大楠までの道程は石段になっているものの段差が大きい所も有り、園児の足ではかなり時間が掛かるのでは?と思っていました。
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が、予想に反して園児の歩くペースは早く、年配の方では付いていくのがやっとな位でした(笑)

そんな中、一人だけ大きく遅れを取る女の子が居ました。

その子の名前はサユリちゃん。

運動が少し苦手なのかな?と思いましたが、とにかく班からはぐれてはいけないので、僕はサユリちゃんと一緒に最後尾を歩きました。

しっかり足を上げて登らないと体重が後ろに掛かってしまうので、「よいしょ、よいしょ!」と彼女を鼓舞しながら坂を登り切りました。

続いて急な下り坂。
今度はカニ歩きで歩く様に促しました。
が、大楠まであと一歩の所でよろけて、石段の脇の草むらにサユリちゃんは落ちてしまいました(*_*)

ケガする程の落差は無いものの、草の丈が高いのでサユリちゃんは直ぐに立ち上がる事が出来ず。

僕が助け起こして、何とか無事大楠に到着しました。

前述の通り、そこで紙芝居を読んだり集合写真を撮ったりした後、しばしの自由時間。

大楠と関係無く、サユリちゃんは石の上で片足バランスで遊び出したので、何秒立ってられるか競争したりして過ごしました。

ここまで見て来て分かったのは、サユリちゃんがマイペース且つ好奇心旺盛である事。

先生が集合を呼び掛けても直ぐには応じず、自分の関心事に無我夢中といった具合です(^^;)

「この様子だと目を離した隙に何処へ行くかも分からんな…」と考え、そこから彼女をマンマークする事に決めました(笑)

楠の倉展望台へ向かう道でも、やっぱり殿(しんがり)はサユリちゃん。

そうこうしている内に僕になついたのか、自然とサユリちゃんは僕の手を握る様になり、楠の倉展望台から帰りの道中は、ずっと手を繋ぎっ放しでした。

さて、遠足最後のチェックポイントはヤギとの触れ合い。
折しも二日前に、男女のヤギが生まれたばかりでした。

ずっと一緒だったサユリちゃんでしたが、ヤギの待つポイントに近づくと、僕を残してヤギまっしぐら。
最後の最後まで餌やりを続けていました。
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それまでも自分の関心事にトコトン素直だった彼女らしいと言えば彼女らしいですが、その姿に一抹の寂しさを覚えました。

こ、これが…父性ってヤツか!?

サユリちゃんと一日過ごした事で、有るはずが無いと思っていた僕の父性が呼び起こされたのかしれません(笑)

そんなこんなで遠足は終了。
園児達は、嵐の様にやって来て嵐の様に去って行きました。

ご近所とは言え、毎年志々島を遠足の場所に選んで貰い、本当に有難い限りです。

来年もまた、カワイイ園児とカワイイ先生が来てくれる事を期待します(笑)

第45話.いざ入湯!~後編~

さて、地道に風呂釜のサビ取りをした結果、何とか自分の納得行くレベルにする事が出来ました。

こちらがbefore・after。
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写真だとキレイに映り過ぎてますが、実際は赤茶っぽい所も残っています(^^;)

これにてようやく準備完了。
入湯すべく、いよいよ風呂を沸かしに掛かります。

今度は風呂釜の半分程度しか水を入れないので、だいぶ短い時間で済むはずです!

…がしかし、それでもやっぱり冬の水温。
簡単にお湯にならないのは一緒です( ´~`)

また、折しも持病の腰痛が悪化していました。
だからこそ湯に浸かって温まろうと思った訳ですが…下の写真が風呂場の外観です。
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焼却炉の扉が有るのが、何となく分かるでしょうか?
低い位置に付いているので、燃やす物を放り込んだり火を扇いだりするのに、しゃがんで体を折り曲げなければなりません。

日が暮れて寒くなるわ、無理な体勢で腰も痛くなるわで、限界を感じました(*_*)

そこで、まだまだお湯がぬるいのは承知の上で、風呂に入ってみる事にしました!

…うん、ぬるい(-_-)

時々手を入れて温度を確かめながら風呂を沸かしていたので、分かり切った事です。
せいぜい38度くらいでしょう。

「釜に直接体が触れたら火傷するんじゃないか!?」という不安が、これまで五右衛門風呂を敬遠していた理由の一つでした。

今は逆に、冷水を火傷する程の熱湯に出来る精神力が僕に有るならば、やりたい位です(苦笑)

長時間浸かっていたら水風呂になってしまうので、早々に切り上げてシャワーで体を温め直しました(^^;)

そんなこんなで、初の五右衛門風呂体験は幕を下ろしました。

感想を一言で述べますと…『時間が惜しい』です。

そもそも東京に住んでいた時ですら、湯船に浸かるのは年に何回か。

蛇口を捻れば直ぐにお湯が出る環境でもそんなでしたから、五右衛門風呂となれば尚更です。

食事の支度も控えている時間帯に、正直そこまで時間を割けません。

風呂を沸かす労力を考えても、割に合わないな~と(苦笑)

これを日々の暮らしで、当たり前の様にやっている人達は凄いと思います。

五右衛門風呂に入って芯から温まりました。
めでたし、めでたし♪

…というハッピーエンドを期待された方には申し訳ありませんが、これがリアルガチ。

住む場所が変わっても、考え方まではそう簡単に変われないものです。

心と時間に余裕が無いと、ノンビリお風呂には入れないですね( ´~`)

雨が降って退屈で退屈で仕方無い時でも有れば、またトライするかもしれません。

それまで五右衛門風呂は封印します(笑)

第44話.いざ入湯!~前編~

明けましておめでとうございます。
昨年ラストは少々「脱線」しましたが、軌道修正して再び志々島からお届けします。

さて、ずっと先送りにしていた五右衛門風呂。
諸々の行事が一段落したので、重い腰を上げて向き合ってみる事にしました。

これが風呂場の内観です。
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傷みは見られますが、湯に浸かるだけと割り切ってしまえば、最低限のメンテナンスで済むかな?と算段しました。

そんな訳で、先ずは全体の掃除し、窓だった部分には網戸の網を取り付けました。

ただし、あちこち隙間だらけなので虫避けではありません。
そもそも、蚊の多い夏場に熱~い風呂には入らないだろうと思います。

大きなゴミが風で飛び込んで来ない様、ブロックするのが目的です。

それはともかく、問題は風呂釜のサビ。

ワイヤーブラシ等で地道に擦り取る方法も有りますが、とある知人から「海藻を煮ると鉄サビが取れる」という話を聞いていたので、それを試してみる事にしました。

煮るとなったら沸騰させなきゃと思い、ここから長い戦いが始まりました。

普通に湯に浸かるのなら、体重で水位が上がるのを見越して、風呂釜の半分程度しか水を入れませんが、全体のサビ取りなので釜いっぱいに水を入れました。

そもそも薪を使って火を起こした事が無いので、ちょっとやそっとじゃ薪に引火しません。

上手いやり方が有るんでしょうが分からないので、火を絶やさぬ為に山ほどの古新聞を燃やしました。

それに加えて、季節は冬。
氷の様に冷たい大量の真水をお湯にするのは、容易ではありません。

結局、朝から昼までひたすら火を起こし続けました(~_~;)

それでも沸騰には至りませんでしたが、海藻を煮るのに十分な温度には出来ました。

用事があったので、そのまま1~2日間放置した後、お釜のサビの状態を確認すると…大きな変化は無し( ´~`)

それもそのはず、海藻を煮る作業を繰り返し行う必要が有ると聞いていたので、直ぐに効果が出る訳ではありません。

が、同じ作業を繰り返す気力を既に失っていました(苦笑)

スマートな手段を諦めるとなれば、残るは最後の手段。

ただひたすら、ワイヤーブラシと金たわしでサビを落としに掛かりました。


つづく

第43話.帰省・その3

秘境駅奥大井湖上駅を後にして、再び千頭(せんず)駅へ戻りました。

旅の締め括りは蒸気機関車、いわゆるSLです。
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正直、「縁起物なので乗っとこか」的なスタンスでした。
が、実際にその重厚なボディを目の当たりにすると、ある種の感動を覚えました。

銀河鉄道999」を観て育ったので、少し憧れの様なものを持っていたのかもしれません。

今回乗ったのは昭和5年に作られたSLで、大井川鐵道が所有する中でも一番古い物だとか。

それを走らせる為に、きっと大変なご苦労をされていると思います。

出発前には、気軽に機関室を見せてくれたりもしました。
何処をどう扱うのか、一見しただけではよく分かりませんが…メカ感が凄い(笑)
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さて、いよいよ乗車です。
客室はこんな感じ。
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メーテルや鉄郎が座っていてもおかしくない雰囲気です。

古いだけに隙間だらけで寒いんだろうな~と思っていましたが、それは大間違い。

動力でもある蒸気を活用して、車内はポッカポカに温められていました(^_^)

乗り心地は、普通のローカル線と遜色無いですね。

各座席に備え付けられた灰皿が、時代を感じさせます。
外だけでなく、車内も煙モクモク(笑)
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「CO2削減!!」というのが世界的な流れですが、SLにだけは目をつぶって欲しいです。

東京での目的はもちろん、かねてからの念願も果たし、一石二鳥な「帰省」でした。

第42話.帰省・その2

明けて月曜日も、動き出しは朝7時でした。

静岡駅から、JRと大井川鐵道(以降、大鉄)の大井川本線とを乗り継いで、先ず千頭(せんず)駅に向かいます。

ここで、大鉄の井川線南アルプスあぷとラインに乗り換え。

元々は、大井川水系のダム建設のために作られた路線の為、線路幅と同じ車幅しかない小さな小さなトロッコ列車です。
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線路に落石を見つけては電車を停め、運転士自らが拾いに行くなんて事が、道中2回有りました(笑)

メガネを掛けてマスクしていたので顔はよく分かりませんでしたが、運転士さんの中には若いい女の子も居ましたね。

幾つかの駅を経て、アプトいちしろ駅に到着。
ここで、日本唯一のアプト式電車と連結です。
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アプト式とは、車体に描かれたマークの通り、歯車みたいな車輪とギザギザの線路との噛み合わせで、ガリガリと急な坂を登る為の仕組みと言えば良いでしょうか。

ここから長島ダムまでの区間が、90パーミルという鉄道では日本一の急勾配(1000mの間に90m登る)
だそうで、アプト式電車で後ろから押して進む訳です。

色々と勉強になりますね~。

長島ダムで途中下車。
ちなみに、間近でダムを見るのはこれが初めて。
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続いてが、今回の旅の目的地・奥大井湖上駅です。

井川線の一部が長島ダムの建設によってダム湖に沈むことから、1990年(平成2年)に移設された際に出来た比較的新しい駅です。
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前後を挟む2本の巨大な鉄橋は「レインボーブリッジ」と言い、お台場のヤツよりも先に命名されたんですって。
訴えてやれ!(笑)

湖が粘土の様な色をしていたので理由を聞くと、今年の台風によって土砂崩れ等が起きた影響だとか。

本来のエメラルドグリーンの湖を拝めなかったのは残念ですが、対岸の高台から見下ろした景色は、秘境感たっぷりでした( ´∀` )b

一口に鉄道オタクと言っても、撮り鉄とか乗り鉄とか、色々種類が有るそうですね。

日本一海に近い駅と言われた愛媛県の下灘にも行ったし、僕はさしずめ絶景鉄?秘境鉄?といった所でしょうか。

大井川や茶畑と、大鉄の車窓に映る景色は日本の原風景そのものでした。

それは日本人の心の故郷であり、もはや里帰りと言っても過言ではありません!ヽ( `皿´ )ノ

え、過言ですか?
そうですよね、分かりました、ゴメンなさい…。

次回へ続く