せとうち志々島移住日記

東京生まれ・東京育ちの元プログラマー。父母ヶ浜で有名な香川県三豊市に属する離島・志々島(ししじま)に移住した新米島人です。 その日常を綴って行きます。

第159話.ミシマサイコ~脱穀編~

約2週間の乾燥期間を経て、元日から種の脱穀作業を再開しました。

今一度、(稲わら用の)脱穀機を使ってみたものの、やはり期待した様な手応えを感じられず、
手の平や指先でしごく方法を取りました。

乾燥させた甲斐も有り、気持ち良い位に種を落とす事が出来ました。

が、如何せんこのやり方では、とても時間が掛かります。

でもまあ、種の納品まではまだ日にちも有るし、地道やればイイやと考えていました。

加えて、詳しくは別の回でお話しますが、並行して根っこの収穫にも時間を割かねばならなかったので、尚更はかどりませんでした。

ところが1月半ばになって、とんでもない思い違いをしていた事を知りました。

納期は3月始めだと思っていたのに、実際は1月末だったのです!Σ(×_×;)!

種を脱穀した後にも選別作業が待っていて、その為に半月は欲しい所です。

要は、既に待ったなしの状況でした(~_~;)

これはマズイと世話役の方に相談すると、対岸の町にガソリンで動く脱穀機が置いてあるとの事。

事態は急を要します。
船に脱穀前のサイコを残らず積んで、翌日には現地に向かいました。
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画像は資料写真を撮影した物で、写真の写真です。
呑気に写真を撮っている場合ではなかったので、悪しからず(苦笑)

実際の機械のサイズは、もう少し小さかったかもしれません。

それはさておき、流石はマシーン。
パワーが全然違います。

全体の3割ぐらいは手作業でやっていましたが、残りを午前中いっぱい掛けて終わらす事が出来ました。

ただ、パワーが強過ぎる余り、茎や葉も粉々に砕いてしまいます。
その分、ゴミの混入が増えるのが難点です。

この後の選別作業にとってはマイナスですが、背に腹は代えられないですね(^^;

こうして取れた種をかき集めて、島に持ち帰りました。

ここからゴミを取り除いて行く訳ですが、続きはまた次回という事で。

いつもより少し短めですが、一度は休載しようと思った程の状況だった為、どうかご勘弁下さい(苦笑)

第158話.ミシマサイコ~種収穫編~

これまた話は、昨年まで遡ります。
12月半ばになり、あの一面の黄色い花畑が茶色く色づき、ようやくミシマサイコが種の収穫時期を迎えました。
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去年は11月の終わりだったので、半月は遅いです。
この頃は暖かい日が続いていたので、それが原因かと思います。

これが後々響いて来るのですが…その時はまだ知る由もありませんでした。

改めて説明しますと、漢方の材料になるのはサイコの根っこで、種が材料になる訳ではありません。

ただ、根っこと同じ金額で買い取って貰える為、大事な収穫物です。

とは言え、買い取り額は重さで決まります。
サイコの種は、ゴマ粒よりも更に小さく軽いので、「塵も積もれば山となる」を地で行く様なものです(苦笑)

収穫は、地面から10~15cmだけ残して、そこから上の部分をマルッと刈り取ります。

少し残しておかないと、肝心の根っこが何処に行ったか分からなくなるから、というのも1つの理由です。

5アール(約500㎡)の畑いっぱいではありませんが、それでも一人で収穫するには大変な量でした。

そんな僕の元に「助っ人」が。

三豊市長が職員の方々を引き連れて、再び志々島にお越し下さいました。
総勢10名以上は居たと思います。f:id:goumonkobura:20220117181300j:image

僕も事前に収穫を進めていましたが、人海戦術とはよく言ったものです。
お手伝い頂けたのは2時間足らずだったにも関わらず、かなりの「大漁」でした。

しかし、「敵」もさるもので、全てを収穫するには至りませんでした。
当然の話ではありますが、残りは僕が責任を持って収穫しました(^^;

さて、収穫した物は高台から運び下ろし、僕の家の母屋と隣りの空き家の2ヶ所に分けてて、強引に押し込みました。

そういった物を保管出来る倉庫すらない、というのが志々島の実状です(苦笑)

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これは母屋の大広間ですが、サイコで埋め尽くされました。
写真じゃ伝わらないのは百も承知です( ´~`)

これらを全て脱穀し、種だけにしなければなりません。

その為に市の職員さんが、どこぞの資料館から昔ながらの脱穀機を借りて、島まで運んで来てくれました。

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足で踏むと回転する仕組みで、本来は稲の脱穀に使われる物です。

がしかし、収穫したサイコの地上部は稲の様に長くないので、手で持っておくのが難しいです。

加えて、本来は一定の乾燥期間を経て脱穀するべきで、直ちに試みても種が落ちにくく、遅々として作業は進みませんでした。

これでは埒が明かないと、知り合いの農家さんに相談。

やはり1~2週間乾燥させてからの方が種も落ちやすくなるとアドバイスを受け、一旦年明けまで作業をストップする事にしました。

乾燥を待つ間に、前回お話した粟島のバイトへと行っていた訳ですが、この選択が後々響いて来る事を、その時はまだ知る由もありませんでした…(2回目w)

第157話.バキバキボディー

明けましておめでとうございます。
早速ですが、話は昨年末まで遡ります(笑)

志々島のお隣り・粟島へ、牡蠣の養殖のバイトに行っていた時の出来事です。

年末に向けて、牡蠣の出荷は最盛期を迎えていました。
晦日やお正月に、家族で牡蠣を食べて過ごしたい人が多いんでしょう。

僕は都合により、お手伝い出来たのは年内最後の一週間だけでした。
任されたのは、牡蠣とゴミとを選り分ける作業です。
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養殖イカダから水揚げされた牡蠣には、様々な物が付着しています。

牡蠣の幼生を付着させる為のホタテの貝殻だったり、ムール貝だったり、謎のブヨブヨした奴だったり(笑)

また、牡蠣同士がピッタリくっ付いている事も多く、可能な限りバラす必要が有ります。

これらの作業には、基本的にトンカチを使います。
叩いて衝撃を与えたり、「テコ」を利用したりして邪魔な物を取り除きます。

そもそも力任せに叩いてはいけないのですが、作業場のテーブル上でトンカチを振るっていると、牡蠣の殻が割れて台無しになってしまうそうです。

なので、牡蠣を手に持って空中で叩いたり、自分の太ももの上に置いて扱った方が良いとの助言を受けました。

とにかくスピード勝負の作業である為、
安定性を考えて「太ももの上」を選択した僕は、一心不乱にトンカチを振るいました。

力任せにやればいいってもんじゃない事は、重ねて申し上げておきます(笑)

さて、その日の仕事を終え、帰りの船に乗り込みました。

ズボンのポケットからスマホを取り出した時、とんでもない事に気付きました。

なんと、スマホの裏面がバキバキに割れているではありませんか!Σ(×_×;)!
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我が目を疑いましたが、直ぐに事態を飲み込めました。

そう、太ももの上でトンカチを使っていた衝撃によって、ポケット内のスマホがダメージを受けていたのです(*_*)

もちろんスマホカバーは付けていたし、ズボンの上に魚屋さんが着てる様な防水の前掛けもしていました。

そして、あくまでも牡蠣やホタテの殻を叩いただけで、スマホが居たのは幾重も下の下です。

にも関わらず、ここまでバキバキに割れるとは信じられませんでした。

意図した事ではないものの、「自傷行為」に等しいです(~_~;)

6つに割れた腹筋をシックスパックと呼びますが、無数にひび割れた僕のスマホは言わば「無限パック」でしょうか(苦笑)

意外にも、スマホの動作に全く影響は有りませんでした。
結果的に、スマホの頑丈さが証明された訳です(笑)

それにしても、スマホのディスプレイが太もも側を向いていたのは、不幸中の幸いでした。
ディスプレイがここまでバキバキになったら、さすがに買い換えざるを得ません。

本音を言えば、今の状態でも充分買い換えたいですけど…(^^;

精神的ダメージを拭えずにいましたが、バイトの最終日、ご褒美に大量の牡蠣を頂き、少しだけ心の傷が癒されました(笑)
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第156話.馬鹿と煙は何とやら

師走とは言うものの、無職の僕も絶望的な量の仕事を抱えています。

急いでやりたいのは山々ですが、タイミングを待たねばならない作業である為、一先ず現実逃避を計る事にしました(苦笑)

その内の一つが、12/20に行って来た「瀬戸大橋スカイツアー」です。

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瀬戸大橋のてっぺんに登る本四高速主催のイベントですが、通常のお客さんとしての参加ではありません。

とあるゴニョゴニョした事情により、ご招待頂いた次第です(笑)

チャンスが有れば一度は登ってみたいと思っていたので、願ったり叶ったりでした。

瀬戸大橋の橋脚が立つ島々の内の1つ、与島(よしま)が今回の舞台です。

与島へは、志々島から海上タクシーで直行しました。
片道50~60分程度の距離です。

瀬戸大橋開通当時は大変賑わった所で、港近くにはだだっ広い駐車場が在ったりと、その名残りがあちこちに見られます。f:id:goumonkobura:20211227152250j:image

さて、それでは一気に「本丸」に攻め入りたいと思います。ここが橋脚の内部です。

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展示フロアになっており、瀬戸大橋が出来るまでの過程や、安全な通行を支える技術等について、僕ら相手にもしっかり解説してくれました。

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次は、1つ目のエレベーターに乗って、地上85mの高さまで上がります。
ここは、電車が走っているのと同じ階層に当たります。

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歩行エリアは下が格子状でスケスケになっているので、高い所が苦手な人には厳しいかもしれません(  ̄▽ ̄)

風が吹き抜けて行く分、てっぺんよりも風が強く感じました。

風音で掻き消されてしまうのか、電車が接近している事に気付けず、シャッターチャンスを逃しました(苦笑)

電車の左横に見える白い凸凹した部分は、四国新幹線が開通した際に線路を拡張する為のスペースです。

橋の完成時には既に備わっていた訳で、当時の人々が如何に新幹線に期待していたかを物語っていますね。

僕が生きている内に実現するのは…難しいかな?(笑)

てっぺんまでは、もう一度エレベーターに乗ります。
そして、狭い通路をくぐり抜け、垂直に近い階段を登り、やっとこさ高さ174mの搭頂部に到着しました。

注: 写真の人物は僕ではありません(笑)

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柱や鉄板で囲まれているので、安全な場所です。
ホントの頂上には、命綱を付けた作業員じゃないと登れません(笑)

こちらは北向きの景色。岡山に向かって橋が伸びています。

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何とも近代的な景色で、風情は感じられないかもしれません。
でも、島や行き交う船も見えるので、眺めが良いのは間違いないです。f:id:goumonkobura:20211228180740j:image

そしてこちらは、南向きの景色。
逆光でよく見えませんが、讃岐富士のシルエットだけは分かります。

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この前日・前々日までは強風により、瀬戸大橋が通行止めになった程でした。

もし風が落ち着かなければ、今回の視察も中止になっていた所なので、ラッキーでした。

冬はそうした心配が有りますが、夏は夏で内部は蒸し風呂状態だし、外に出れば逃げ場の無い直射日光だしで、ダウンしてしまうお客さんも居るとか。

まあ、普通のお出掛けと一緒で、天候に左右されるツアーという事です。

忙しさとコロナ禍が相まって、周辺観光とはすっかりご無沙汰していたので、ちょっとした冒険気分を味わえました。

今年度は開催を見送っている様ですが、再開した折には皆さんも是非、チャレンジしてみて下さい!

第155話.箱裏マルシェ~後編~

予想に反して、お客さんの出足は好調でした。
むしろ、開場時間前からゾロゾロと人が入って来た程です。

少し焦りましたが、僕の店は人気店ではないので、特に慌てる必要は無かったと直ぐに気付きました(笑)

ただ、確かに人出は多いものの、同じお客さんが会場内をぐるぐる回っている様子で、一人一人の滞在時間が長い印象を受けました。

朝イチに来て、昼過ぎまで居たりとか?
まあ、そんな感じです。f:id:goumonkobura:20211218151802j:image
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なので、同じ人に対して何度アピールしても効果無し、という無益な時間が大部分を占めました( ´~`)

僕の肌感ですが、今回のマルシェ全体における売れ筋商品を列挙すると、

・その場で食べられる物
・生牡蠣
・馴染みの果物や野菜

…てな所でしょうか。

その証拠に、何の変哲も無いタコ焼き・お好み焼きに、絶えず行列が出来ていました。

ご飯的な物が食べられる店に限りが有ったとは言え、「ここまで来てそんなもんを食べたいのかなぁ…」と思わずにはいられませんでした。

でも、最終的にはそういう所が一番強いって事は認めざるを得ないです(苦笑)

僕の唐辛子関連商品は、直ぐに食べられないし、我ながら地味だなぁと思います。

隣のブースが「肉まんコロッケ」のお店でよく売れていたので、尚更そう感じました(^^;

そして一押しの青唐辛子は、日本人にとって身近な存在ではないのだなと改めて思いました。

使い方の簡単な説明書きを掲示していましたが、全く食い付きは無かったです。

買ってくれたのは元々青唐を良く知る人で、普段使いする外国人の方や、柚子胡椒を自分で作ったりする方ぐらいでした。

青唐と同じく100円で販売したホールの乾燥唐辛子は10袋以上売れたので、使い道をイメージ出来るか否かの差だと思います。

もっとも、実演販売のプロや威勢の良い八百屋さんの様な呼び込みテクを持っていれば、同じ物でも売れ方は違うでしょうね。

僕には無理ですけど…(笑)

当日の売上だけで見ると、商品ラインナップを考えたら悪くないかもしれませんが、期待値からは大きく下回りました( ´~`)

その一方で、マルシェ前日に知り合いの知り合いの方から、乾燥唐辛子と青唐辛子の大量注文が有った為、黒字は約束されていました。

なので、両方合わせたら悪くない結果だったと思います。

もちろん、黒字と言っても微々たる金額で、島に帰る前にスーパーやホームセンターで買い物をして殆んど消えました(笑)

ただし、事前予約というのはレアケースなので、そこに期待する訳には行かないのが正直な所です。

そもそもですが、マルシェに一度出店しただけで、ドカンと稼げるとは思っていません。

前述の売れ筋商品に、太刀打ち出来るとも思っていません。

一番の目的は市場調査です。

安くしても売れない物は売れないなとか、伝える努力・工夫が必要だなとか、そういった事を直接知る良い機会だったと思います。

今回と同じ商品しか用意出来ない様なら、マルシェ等への出店はよくよく検討した方が良いかもしれません。

それにしても、当日は良い天気でした。
後で聞いた話によると、入場者数は約700人だったとか!!(゜ロ゜ノ)ノ

雨でも降ってくれたら言い訳出来たのにと、お天道様を逆恨みしています(ウソ)

第154話.箱裏マルシェ~前編~

今年5月の事。
観音寺市の「銭形砂絵」という観光スポット近くに在る道の駅で開かれた、マルシェに出店しました。

しかし、コロナ禍でそもそも人出が少ない事に加え、その日は朝から荒天で、テントが吹き飛ばされそうな程の強風(*_*)

更にお昼過ぎには雨も降り始め、早々に店を畳んで撤退を余儀なくされるという、踏んだり蹴ったりの結果に終わりました(苦笑)

そもそも遠征するのはエネルギーを使いますし、そうした経験も手伝って、志々島の近隣で行われるマルシェに出店してみたいなぁと考える様になりました。

そして先週、ようやくそのチャンスが訪れました。

香川県の西端・荘内半島に在る、「箱浦ビジターハウス」が今回の舞台です。

ビジターハウスと聞いて旅行者向けの施設かと思ったら、要は地域の公民館だそうです。

実は8月に出店するつもりでしたが、その時はコロナによる緊急事態宣言やらで中止になりました( ´~`)

なお、当記事のタイトルはマルシェの名称です。
誤字ではありませんので悪しからず。

これが上空から見た様子。
真ん前が海です。

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(C)まちづくり推進隊詫間

そして僕の出店ブースからは、桜で有名な紫雲出山(しうでやま)が拝めます。
そんな立地です。

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船のスピードにもよりますが、志々島から漁船で直行した場合は、恐らく40~50分掛かると思います。

僕はと言えば、志々島の対岸・宮ノ下港まで定期船で渡り、そこから車で20分掛けて行きました。

漁船で行くより早い気はするものの、結局「志々島の近隣で…」と言うほど近くはなかったですね(^^;

オマケに、所々車が対向出来ない箇所も有り、なかなかハードな道のりでした。
 
朝は冷え込むし、「ホントにこんな所までお客さんは来るんかいな!?」と正直思いました。

会場に到着後は、ブースの設営。
出店料とは別に、テントやテーブルは有料でレンタルしました。

品数が少ないので大して時間は掛からないだろうと高を括っていましたが、なかなかどうして、スタートギリギリまで準備に追われました。

ふと周りを見渡せば、一人でノコノコやって来た出店者は僕だけでした。

幾ら品数が少ないとは言え、孤立無援とはこの事。
「弱小個人商店」の本領発揮です(笑)f:id:goumonkobura:20211209103011j:image
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さて、今回の販売商品は次の通り。
干し芋を売るのは諦めたので、ほぼ香川本鷹一本槍となりました(苦笑)

・香川本鷹コーレーグース
・粗挽き!!香川本鷹(一味)
・乾燥赤唐辛子(ホール)
・青唐辛子(生)
・コットンボール(去年の残り物)

以前ブログで書きましたが、生の青唐辛子は万能調味料となり得る、僕の一押し商品です。

前日にかなり多めに収穫し、20本で100円という(僕的には)お値打ち価格に設定しました。

さて、どんな結果になるやら?
マルシェ本番のスタートです。

つづく

第153話.完全勝利!?~後編~

蒸す⇒皮を剥く⇒切る⇒干す

干しイモ作りは、手順だけ聞いたら至って簡単です。

先ずはサツマイモを洗って泥を落とし、蒸し器に入れます。
一番下の段が水を入れる所で、上の二段にイモを置きます。

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これは島のオバアチャンからの借り物で、普通に考えれば充分な大きさですが、イモを沢山まとめて蒸したいとなると、一度にセット出来る本数は意外と少ないです。
※作業優先で内容に見合う写真を撮り損ねました(^^;

で、僕のごっついイモ達はそのままだと火が通りにくいので、物によっては半分に切りました。

竹串がスッと通るまで柔らかくなったらOK、とよく聞きますよね?
蓋を開けて何度か様子を見ましたが、1時間も掛からない位で蒸し上がります。

…と言いつつ、蒸し具合にはムラが有りました。
形のせいか、やはり中心部は熱が通りにくかったです( ´~`)

蒸し終わったら、皮を剥いて薄切りにして行くのですが、恐らく理想は個体とペースト状の中間点なんだと思います。

その位火を通さないと、硬いし充分な甘さも出ません。
でもそうなると、切る時に形を維持するのが難しくなります。

ちなみに、本格的にやっている農家さんでは専用のスライサーを使っており、ピアノ線の間をスッと通せば一瞬で切れます。

一方、包丁で地道に切るしかない僕は、切り易さを優先し、ついつい蒸し加減を抑え目にしてしまいました(^^;

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結論から言うと、これが命取りになりました。

この後の天日干しでどうにかなるもんだと勝手に思い込んでいましたが、大半が食品サンプルのチャーシューみたいなビジュアルになってしまいました(*_*)

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そして実際に食べてみると…ホントに食品サンプル並みの硬さ(苦笑)

レンチンしたりすれば若干変わりますが、それも気休め程度です。

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こういう状態の物は少しマシな方です。
でも、全体で見れば僅かな量です。

…と、ここまでやってみてと言うか、その最中に知ったのですが、サツマイモの表面に現れた緑の斑点がカビではない可能性が浮上しました。

クロロゲン酸というアルカリ性に反応した事により起こる変色で、ポリフェノールの一種だそうです。

加えて、仮にカビだとしても、菌糸が立ち上がる様なカビでなければ気にする事はないと、知り合いの農家さんに言われました。

要するに、急いで下手な物を作る必要は無かった訳です。
猪から守り抜いたせっかくのサツマイモが台無しです(~_~;)

「上手く作れたら、近々出店予定のマルシェで干しイモも売ろうかな?」なんて目論んだりもしていました。

この期に及んでなお、「ド素人干しイモ」とか「発展途上干しイモ」とか、ネーミングで勝負する事も考えたりしました。

しかし、どんな策を講じたとしても、プロの皆さんに対して失礼だなと改心し、売りに出すのは断念しました(苦笑)

手首のダメージも癒えぬ今、「コレのどこが勝利なんだ!?」と自問自答しています。

やってしまった事は仕方ありません。
かくなる上は、カッチカチの干しイモを食べて、退化した顎を鍛え直します(笑)


【お知らせ】
通常は10日おきにブログを更新していますが、次回12/8は電波の届かない大平洋上に居る為、12/9以降の更新になる予定です。